【特集】65歳からの年金・収入・支出の最適設計 ― 働き方・稼ぎ方・使い方を“間違えない”ための完全ガイド ―<第4回>
📌はじめに|「もっと働く」以外の選択肢を持っていますか?
65歳以降の収入を考えるとき、
多くの人が最初に思い浮かべるのは、
- もう少し長く働こうか
- できるだけ給料を確保したい
- 年金だけでは心許ない
といった 「労働収入をどう増やすか」 という発想です。
もちろん、体力ややりがいの面で
働き続ける選択は立派なものです。
ただ、前回までの記事で見てきたように、
65歳以降の収入には 制度上の線引き が存在します。
「働きすぎると、年金が一部調整される」
この現実を前にしたとき、
もう一つの選択肢が見えてきます。
それが、
「収入の量を増やす」より「収入の種類を増やす」
という発想です。
✅ 制度の整理|年金に影響しない収入とは何か

まず、制度面をシンプルに整理します。
在職老齢年金で調整の対象になるのは、
あくまで次の合計です。
- 老齢厚生年金
- 給与・賞与(労働収入)
一方で、次のような収入は
在職老齢年金の調整対象には含まれません。
- 株式の配当金
- 投資信託の分配金
- 不動産の家賃収入
- 個人年金
- 預貯金の利息
これらはまとめて
「不労所得(資産収入)」 と呼ばれます。
つまり、
年金を減らさずに収入を補う余地は、
すでに制度の中に用意されている
ということです。
✅ 労働収入と不労所得の決定的な違い
ここで一度、
労働収入と不労所得の違いを整理してみましょう。
| 観点 | 労働収入 | 不労所得 |
|---|---|---|
| 体力依存 | 高い | 低い |
| 年金への影響 | あり | なし |
| 継続性 | 体調次第 | 仕組み次第 |
| 管理負荷 | 時間が必要 | 慣れれば軽い |
老後に向いているのは、
どちらでしょうか。
多くのセミシニアにとって、
「少しの労働+少しの不労所得」
という組み合わせが、
最も現実的で続けやすい形になります。

💡 不労所得①|配当金・分配金という選択
最も始めやすい不労所得が、
配当金や分配金 です。
たとえば、
- 高配当株
- 高配当ETF
- 分配金型投資信託
これらは、
保有しているだけで定期的に現金が入る
仕組みです。
仮に、
- 年利3%
- 投資額300万円
であれば、
年間約9万円、月にすると7,500円ほど。
金額としては小さく見えるかもしれませんが、
これは 「体力を使わずに得られる収入」 です。
しかも、
年金とは別枠で積み上がります。
💡不労所得②|不動産収入は「小さく持つ」発想で
不動産と聞くと、
- 大金が必要
- 管理が大変
- リスクが高い
というイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし最近は、
- 小口不動産投資
- REIT(不動産投資信託)
といった形で、
数万円〜数十万円から参加できる仕組み も増えています。
老後に向く不動産の考え方は、
「大きく儲ける」より
「家賃の一部を年金代わりに受け取る」
という視点です。
💡不労所得③|すでに持っている人も多い「個人年金」
見落とされがちなのが、
個人年金保険 です。
現役時代に加入していて、
- 65歳以降に受け取りが始まる
- 年額・月額で定期的に入る
という方も少なくありません。
これも、
在職老齢年金の調整対象には含まれません。
「これは年金だから関係あるのでは?」
と思われがちですが、
公的年金とは別枠 です。
✅ 判断軸|老後に向く不労所得とは?
ここで大切なのは、
「利回り」よりも次の3点です。
- 安定性:大きく上下しないか
- 再現性:誰でも始められるか
- 管理負荷:老後に無理がないか
この3つを満たすものが、
老後向きの不労所得 です。
派手さは不要です。
「少しずつ、長く」が基本になります。
✅ 実生活への落とし込み|まずやるべきこと
いきなり何かを始める必要はありません。
まずは、
「すでに持っている不労所得」を洗い出す
ことから始めてみてください。

- 配当が出ている株はあるか
- 個人年金はいつから、いくらか
- 定期的に入る収入は何があるか
紙に書き出すだけで、
収入の全体像が見えてきます。
📌 まとめ|老後の安心は「仕組み」で作れる
65歳以降の収入設計で重要なのは、
働き続けられるかどうか
ではなく、
働けなくなっても回る仕組みがあるか
という視点です。
不労所得は、
年金を減らさず、
体力を消耗せず、
心の余裕を生む手段です。

まずは今日、
あなたがすでに持っている
「不労所得」を書き出してみてください。
それが、老後設計の第一歩になります。
✅ 次に読むお勧め記事
📌【在職老齢年金の正しい理解】 2026年改訂「62万円ルール」を味方につける
📌 【年金はいつからもらうべきか】 65歳受給が「現実解」になる理由
📌【いつまで・いくらまで働くべきか】平均年金から逆算する“ベストな給料”
📌 次回予告
次回は、
「収入が増えると税金はどうなるのか?」
という現実的なテーマを扱います。
「年金が減らない」=「手取りが増える」ではありません。
税金を分けて考えないと判断を誤ることを整理します。



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