【特集】65歳からの年金・収入・支出の最適設計 ― 働き方・稼ぎ方・使い方を“間違えない”ための完全ガイド ―<第6回>
📌はじめに
65歳以降の収入設計を考えるとき、
多くの人がこう思います。
「年金が減らないなら、
収入は増やしても大丈夫ですよね?」
この感覚自体は、間違いではありません。
ただし、半分しか見ていないのも事実です。
なぜなら、
- 年金が減らない
- = 手取りが増える
とは、必ずしもならないからです。
このズレを生むのが、税金です。
✅年金制度と税制は、まったく別のルール

まず、ここを整理しておきましょう。
- 在職老齢年金
→ 年金制度のルール - 所得税・住民税
→ 税制のルール
この2つは連動していません。
つまり、
- 年金は減らない
- でも、税金は増える
ということが、普通に起こります。
これが、
「思ったほど手取りが増えない」
と感じる正体です。
✅モデルケースで見る「税金が効いてくる構造」
ここからは、よくある条件の
モデルケースを使って考えてみます。
モデルケース(例)
66歳・夫婦世帯(配偶者は収入少なめ)
収入(年額)
- 厚生年金:240万円
- 給与(継続雇用):240万円
- 企業年金:120万円
- 確定拠出年金:60万円
- 株式売却益:60万円
合計収入:720万円
この時点で、
「収入が多すぎる」「恵まれている」
と判断する必要はありません。
重要なのは、
この720万円が、どう課税されるかです。
✅同じ720万円でも、税金の見え方は揃わない

まず、収入は3つの箱に分かれます。
① 総合課税に入るもの
- 厚生年金
- 給与
- 企業年金
- 確定拠出年金
👉 合算して課税される
② 分離課税になるもの
- 株式売却益(60万円)
👉 他と合算されず、約20%で固定(NISAは非課税)
③ 控除で差が出る部分
- 公的年金等控除
- 給与所得控除
- 社会保険料控除
- 配偶者控除など
この③があるため、
同じ収入でも、課税所得は人によってズレます。
💡判断が分かれる①|税率の境界線をまたぐかどうか
モデルケースの場合、控除後の課税所得は
おおよそ 300万〜350万円台 に収まる人が多くなります。
ここで問題になるのが、
- 所得税10%ゾーン
- 所得税20%ゾーン
の境目です。
- 控除が多く、10%に収まる人
- 少し条件が違い、20%に入る人
👉 収入は同じでも、税率が変わる
ここが、最初の判断分岐点です。
💡判断が分かれる②|「年金は減らないのに損した感」
株式売却益60万円は、
分離課税で約20%。(NISAは非課税)
👉 税額は約12万円
これは誰でも同じです。
でも、
- 生活費に使う人
- 使わずに残す人
では、
- 税金の重さの感じ方
- 満足感
がまったく違います。
税額は同じでも、納得感は人によって違う。
これも、判断が分かれるポイントです。
💡判断が分かれる③|世帯で見るか、個人で見るか
配偶者に
- 少しの年金
- 少しのパート収入
がある場合、
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
のラインをまたぐかどうかで、
- 世帯全体の税負担
- 「働いた意味」の感じ方
が変わります。
👉 自分だけ見ても、判断できない
ここで初めて、そう気づく人が多いポイントです。
💡あえて結論は出しません
ここまで読んで、
- どれを減らすべきか
- どこまで働くべきか
そう考えたかもしれません。
でも、この記事では
結論は出しません。
なぜなら、
- 家族構成
- 控除
- 使い道
- 気持ちの優先順位
が違えば、
同じモデルでも最適な判断は変わるからです。

📌まとめ|判断軸だけ持ち帰ってください
今回、持ち帰ってほしいのは答えではありません。
- 年金制度と税制は別物
- 収入額ではなく「手取り効率」で見る
- 税率・控除・世帯条件で結果は分かれる
この3つの判断軸です。
これがないまま動くと、
「年金は減らないのに、思ったより残らない」
というズレが起きやすくなります。
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📌【不労所得の裾野の広げ方】 年金を減らさず収入を増やす王道
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📌【いつまで・いくらまで働くべきか】平均年金から逆算する“ベストな給料”
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📌次回予告
⑦ 仕事を辞めたら、税金と保険はどう変わるのか?
同じ収入でも、
「働いている年」と「辞めた翌年」で
手取りが変わる理由を整理します。



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