何も分からない状態から始まった施設探し

介護施設のエントランス風景。老夫婦が穏やかな表情で並んで歩いている様子。

母の介護を続けている中で、父も自宅療養が必要になりました。

その時、私たちは初めて「両親とも介護施設へ入居する」という選択を真剣に考え始めました。

しかし、介護施設についてはほとんど知識がありませんでした。

特別養護老人ホームとグループホームは何が違うのか。

費用はどれくらいなのか。

それぞれのメリット・デメリットは何なのか。

分からないことばかりでした。

そこで最初に相談したのが地域包括支援センターでした。

さらに担当のケアマネジャーが制度や施設について丁寧に教えてくださり、お薦めの近くの特別養護老人ホームも紹介してくださいました。

私は市役所でパンフレットを集め、インターネットで評判を調べ、近隣のグループホームや特別養護老人ホームを実際に見学しました。

約半年。

その時間は施設を探す時間というより、「家族が納得できる答えを探す時間」だったように思います。

最後の決め手は、人でした

最終的に特別養護老人ホームを選んだ理由は、設備や費用だけではありません。

一番印象に残ったのは、ケアマネジャーが「ここなら安心できますよ」と勧めてくださったこと。

そして、見学した時に感じた職員の皆さんの雰囲気でした。

利用者への接し方。

施設全体の雰囲気。

パンフレットでは分からない安心感がありました。

「ここなら両親をお願いできる。」

そう思えたことが、最後の決め手でした。

入居した日、父は怒っていました

母はショートステイを利用していたこともあり、大きな混乱はありませんでした。

でも父は違いました。

大阪から弟が連れてきて、入居したその日、

「こんな所へ入れやがって。」

そう怒りをぶつけてきました。

正直、胸が痛みました。

「本当にこれで良かったのだろうか。」

そんな思いが何度も頭をよぎりました。

その後も二、三か月は口喧嘩になることが続きました。

しかし、ある日、父がぽつりと言いました。

「○○さんは親切で、よくやってくれる。」

その言葉を聞いた時、ようやく父も新しい生活を受け入れ始めたのだと感じました。

私は心からほっとしました。

今だから思えること

もし今、当時の自分に声を掛けられるなら、

「本当によく頑張った。」

そう伝えたいです。

父を説得することは簡単ではありませんでした。

それでも情報を集め、家族で話し合い、迷いながらも考え続けました。

そして今、一番良かったと思えるのは、両親が同じ施設で一緒に暮らせたことです。

介護施設には正解があるわけではありません。

家庭によって事情は違います。

だからこそ、「どこが一番良い施設か」を探すより、「家族が納得できる選択かどうか」を考えることの方が大切なのではないかと、私は思っています。


介護施設選びは、施設を選ぶことだけではありませんでした。

家族で情報を集め、迷い、話し合い、納得できる答えを見つけるまでの時間そのものが、私たちにとって大切な時間でした。

そして、入居当日に怒っていた父が、数か月後に職員の方への感謝を口にした姿を見て、「時間が気持ちを変えてくれることもある」と実感しました。

介護に正解はありません。

だからこそ、私は「正解」を探すのではなく、「自分たちが納得できる選択」を大切にしたいと思っています。

もし皆さんが、ご家族の介護施設について考える場面になったら、何を一番大切にして選びたいと思いますか。

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